– 有料であっても“永続”ではない、いま見直すべき情報の管理方法
1998年に登場した「gooメール」は、当初は無料で提供されていたフリーメールサービスでした。当時はインターネットが広く一般に普及しはじめた頃で、PCメールのアドレスを簡単に持てるサービスとして注目を集め、多くのユーザーの連絡手段として活用されてきました。
やがて時代とともに機能強化やサービスの変遷があり、2014年には無料版の提供が終了。その後は月額課金制による有料サービスとして継続されてきました。メール容量の増加、スマートフォン対応など、利便性の向上が図られる一方で、過去にはシステム変更に伴う混乱もあった記憶があります。
2025年4月、NTTレゾナントは「gooメール」全体のサービスを2026年2月25日をもって終了すると発表しました。新規受付は2025年8月に停止され、終了日以降はメールの送受信はもちろん、過去データへのアクセスもできなくなります。

「有料」でも終わることがある、という現実
今回の終了発表で多くのユーザーが驚いたのは、有料サービスであっても“突然”終わる可能性があるという点です。無料サービスに対して「いつ終わっても仕方がない」と思う方もいるかもしれませんが、月額料金を支払って利用していたサービスですら、利用状況や事業継続性の観点から終了を余儀なくされるケースがあるのです。
メールというのは一見地味なツールですが、契約情報、ログイン認証、過去の大切なやりとりなど、私たちの暮らしの中核を静かに支えています。その基盤が失われると、思わぬトラブルに発展しかねません。
今すぐできることは何か?
今回の発表を受けて、gooメールを現在利用している方が考えるべきポイントは以下の通りです。
- 他メールサービスへの移行:Outlook.comや、eclipso Free Mailなどの安定性・継続性のあるサービスへの乗り換え
- 各種サービスの登録情報変更:ショッピングサイト、金融機関、SNSなど
- メールデータのバックアップ
今後のメールサービスの在り方
gooメールの終了は、「どこかの企業が提供するメールサービスに頼ることのリスク」を私たちに改めて気づかせました。便利で使いやすくとも、その運命は提供者の判断に委ねられます。
では今後、メールという重要なツールをどのように管理していくべきなのでしょうか。
選択肢の一つ:独自ドメインの取得とメール運用
これからの時代、より安定的で自由度の高い方法として注目されているのが「独自ドメインを取得し、自分専用のメールアドレスを持つ」という選択肢です。
たとえば「example.com」のような独自ドメインを取得し、これに「info@example.com」や「yourname@example.com」といったメールアドレスを設定します。他社のサービスに依存せず、長期的にメールアドレスを維持できます。たとえ利用しているサーバー会社が変わったとしても、ドメインさえ維持していればメールアドレスそのものは変わりません。
テクノロジーの「終わり」は、新しい始まり
テクノロジーの世界では、どんなに長く使われていたサービスでも、その役割を終えることがあります。とりわけ、通信やクラウドといった分野は進化のスピードが早く、変化に柔軟に対応する姿勢が求められます。
「gooメール」の終了は、一つの時代の終わりを象徴する出来事かもしれません。しかしそれは同時に、私たちが「どのようにデジタル情報を持ち、守り、使っていくか」を見直す貴重な機会でもあります。
「無料か有料か」に関係なく、デジタルサービスに“永続性”は約束されていません。だからこそ、メールやデータの移行先は信頼できるものを選び、定期的に自分の情報の置き場所をチェックする。そんなデジタル・リテラシーが、これからの時代にはより一層重要になるでしょう。